東京都知事選雑感

 2020年7月5日の都知事選。大方の予想通り小池百合子の圧勝で開票即当確が出る。まあ今回は信任投票みたいなものなので仕方なし。コロナ問題で国がだらしかなかったところで、小池百合子がリーダーシップを発揮してくれた。そう認識を持っている都民が多かったのではないかと推測している。実際どうだったのかはさておき、非常事態宣言に前後して国とバチバチにやり合ってくれた、という印象はとても強かった。現に「密です」はネットでもバズったし有志によるゲームまで作成されたわけで。
 
 翻って、野党界隈はマジで勝つ気があったのだろうか?宇都宮さんは政策や経歴を拝見するにとても立派な方だけれども、山本太郎とのバッティングを防げずに野党統一候補に出来なかった時点でもう勝負あり。ここで争ってしまったら勝ち目なしだと思う(維新がかき乱すのは想定内だとしても)。理念はあれどリーダーシップが伴いそうにない知事よりも、コロナという禍の中において、リーダーシップを発揮してくれそうな知事が選ばれた。単純にそんなことだろう。
 
 そして選挙結果とあわせて、NHKが公開した都民1万人アンケートがとても興味深い。
 3つめの質問、小池知事の資質・能力についての回答が示す通り「発信力」と「リーダーシップ」が高く評価されて、再選を果たしたと見るのが妥当だろう。一方で「弱者への共感」という項目のスコアは著しく低い。 個人的にはこの認識があるという点が救いのように思う。
 
 野党及び支持者は冷静に現状を認識する必要がある。コロナの第二波が目前に迫っている、もしくは渦中にあるということを踏まえて「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という格言が引用されていたのを見掛けたけれど、選挙戦も同じ話でしょう。SNSでまた散見されているが、自分の観測範囲の中に留まって、選挙不正があったのではとか言い出す糞ダサムーブをかまさないようにしてほしい。
 
 そんなわけでいち支持者として。政治家に一番求める資質は「弱者に向けるまなざしの誠実さ」だと近頃は考えているので、宇都宮さんに票を入れた。その指針は今のところ間違っていないと考えている。敗戦理由はこれまで述べた認識の通り。今回は選挙という戦いに臨む時点で既に負けていた。あとこれは直接選挙結果には関係しないが、どうにも拭いきれない界隈の「お仲間意識」を問題視している。選挙結果が出てから顕著に感じたのだけれど、Twitterで息巻いている一部インフルエンサーの方々による、必要以上の攻撃性(投票先へのディスり)、厭世観(絶望しかないとか言っちゃう)、自己愛に満ちた悲劇のヒロインみたいな振る舞い。そこに連なる面々による傷の舐め合い。それらにどうにも嫌なお仲間意識を強く感じてしまう。この手の意識の行き着く先は時の総理とその界隈で起きている不祥事の「温床」と言われているものと、性質として何か違うのだろうか。
 
 勝手に絶望されたこれからの未来は、多数が賛成したリーダーのもとで築かれていく。結果を残念に思うにせよ、未来に対して前向きに関わっていく決意を示せない以上、ただ権力闘争に酔っているようにしか思えない。それでは同じ穴のムジナでしょう。
 
 これから、小池都政をしっかりと監視していきたいと思っている。まずはコロナの問題。新規感染者が3桁を越えて自粛ムードふたたび、という声も聞こえてきたのはせいぜい4〜5日前。あと10日間ほどは感染者数が増えることがほぼ既定路線な現状で、医療対策がきちんとなされるのか。都知事選にかまけて、必要な事柄が蔑ろにされていなかったのか。まずはそこから、きちんと検証の目を向けていきたい。