「美食探偵」第八話

いよいよ本日最終回。日曜この時間帯のドラマはがっかり最終回が続いているのだけれど、果たして今作はどうなるだろうか。小芝風花のキャラクターの好ましさと、小池栄子の迫力の凄まじさでここまで辿りついた。中村倫也も徐々にイケメンに見えてきた気がする。がっかり最終回でないように祈りながら、22時を待ちたい。
 
というわけで振り返って第8話。欧米では殺しの天使“Destroying angel”との異名を持つドクツルタケ。まあ、相変わらずゴリゴリに強引ですが筋としては綺麗なお話。美しい純白の姿が天使を想起させたというそのキノコと同様に、真っ白なパーカーに身を包み、返り血に染まるココちゃんの姿は妖艶なほどに美しい。
 
ココちゃんが着用していたこの「白」と同様に、今回はもうひとつの色についても印象が残る。回想シーンでマリアが最後の晩餐にしてもよいと思えるぐらい、と言った明智が焼くフィレ肉のステーキは「ロゼ色」のミディアムレア。そして苺とマリアの席で振舞われるワイン “若くて可愛くて甘ったるいあなたみたい” なそれは「ロゼ色」のスパークリングワイン。苺のカラーがこの色だとするならば、果たして「濃いエンジ色」の男は「ロゼ色」を選ぶのか「黒色」を選ぶのか。単純に色としては「黒色」の方がエンジには近いのだ。ロゼ色。少しオレンジがかった濃いピンク色。
 
そしてピンクと言えば、その色に似つかわしくない(失礼ながら)風貌でこのドラマのコミカル担当として存在感満点な二号桃子。彼女が絡むシーンはきちっと笑えるシーンで、だからこそ色々と作り手の遊び心が見えて面白い。パジャマの柄が鰹のタタキだったり、しれっと「アケT」を着用していたり、小道具の漫画が「西村アキコ」で「ニラレバ男子」(27巻と地味に長寿)だったり。八面六臂の大活躍。この展開であれば最終回はあんまり出番がないのかもしれないが、大団円のハッピーエンドにて、彼女の最後の活躍に期待をしたい。
 
さて今回の一番の見所としては、苺の「あなたが好きなんです」という告白シーンもさることながら、個人的には第一話のパンチラインが再登場したシーンを推したい。マリアに気圧されて、落ちかけた苺を救う明智が「どうせ正論でも吐いたんだろう」と口にするシーン。観客としてはおおっと思ったが、ふと真面目に考えると苺は別に正論を吐いたわけではない。彼女はマリアにほとんど何も言えなかった。「じゃあ聞くけどあなたはだあれ?」という問いに対して答えられないのはマリアの迫力もさることながら、苺自身の中にも迷いがあったからだろう。「料理人」や「探偵助手」ということではなくて、もっと適切な名前を探している。マリアの問いはひょっとしたら「あなたは彼にとっての何なの?」という風にも苺には聞こえていたのかもしれない。
 
引きの明智とマリアが落ちていくシーンのチープさには思わず笑うしかなかったが(背景のエフェクトは何のつもりだ・・・)、今クールで一番楽しみにしていたドラマ。泣いても笑っても数時間後には最終回。正直もう苺が爆裂幸せになってくれることだけを願ってやまない。次作主演の「妖怪シェアハウス」も楽しみにしてます。あれっこれもうただ小芝風花が好きなだけではないか。