古本屋

実家から歩いて5分のところに、古本屋があった。

ブックオフ古本市場が跋扈する少し前。
扱っている本よりも店の方が古めかしく、間違いなく個人商店だと言い切れる佇まい。
初めて入店したときには不思議な緊張感があったことを覚えている。

季節は夏。
クマゼミが喧しい昼下がり。
坂道を下って踏切の手前。

店内は少し埃っぽく、インクなのか黴なのか、書店特有の匂いが本当に濃密で
その空気を吸うだけでなんだか少し大人になった気分がしたものだった。
(漫画ばかりを買っていたのだけれど)

そんなわけで夏は古本屋に行きたくなるのです。
少しばかり不健康な、夏の思い出。