仕事というものへの過剰な期待

昨晩、大学時代からの友人と酒を飲んだ。もうそれなりの年なので、どうしても仕事の話が多くなる。

全く違う業界で働く彼女は凄く真摯に仕事と向き合っていて、その話は色々と興味深かったのだけれど、どうにもネガティブな面が強調されがちだった。自分自身と、周囲への不満からくる愚痴や弱音。なんだか凄く息が詰まっているように感じたので、「そこまで肩肘張って仕事をしなくてもいいんじゃない?」といったような言葉を返しながら、ぼくは赤霧島の水割り(うまい)をちびちびと飲んでいた。三軒目の店で。

別に、仕事なんて鼻クソほじりながら片手間でやってしまえ、とか思っているわけじゃない。もちろんそこにはある水準以上の真剣さがあるべきだし、その点では彼女の姿勢は凄いと思う。ただ危険だなぁと思ったのは、「仕事だからみんな死ぬ気でやって当然」ぐらいの考えが見受けられたところだ。そこまでいくと行き過ぎだと思うし、何よりも同じ水準を他者に求めることは過剰な期待でしかなくて、きっとストレスの原因にしかならない。

ぼく個人の考えでは、仕事は生活していくお金を得るための手段であって、それ以上でも以下でもない。だから、実際どうなのかはわからないけれど、自分の周囲に居る人もそれぐらいのスタンスだと思って仕事をしている。もちろんたまに周囲に不満をもつことはあるけれど、恐らく彼女よりはずっと少ないはずだ。主観的なので数値化はできないけれど。

それにしても、彼女に限った話でもないけれど、何でこんなに「仕事」というものは大層なものに見えるのだろう?たまに「仕事原理主義者」とでも言いたくなるようなタイプの人がいたりするけれど、正直なところまったく理解ができない。さらに「仕事を通じて成長!」的なことを聞いたりするともう正直、何を成長させんの?人間力、コミュニケーション力、はぁ?ってなってしまう。

人生の目的が仕事をすることなんだったら、「自分が」死ぬ気で頑張るというのは別に構わない。むしろ政治家や官僚、経営者はそうであって欲しい。でも、一企業勤めの人間でしかないのに、そこまで心酔してどうするんだろうと正直思う。彼女は仕事というものに、なにか過剰な期待をしいるんじゃないかなぁ、と。そんな印象を受けた秋の一夜。